不安を拭うために飲む酒は不味くていい

薄暗い部屋で毒にも薬にもならない動画を見続けている
窓の外から幽かに聞こえる蝉時雨に終わりを迎え始めた夏を感じた

エアコンが効きすぎた部屋は寒いから布団にくるまって

 


電話をした
人の声
見知らぬ誰かの声

 

 

付けっ放しにしたパソコンの電源ボタンが一定の間隔で青く光っている
チカ チカ チカ チカ

 



部屋は胎内で、本棚は脳味噌だ
とりとめもない無意味なガラクタで埋もれた立方体は、何もかもを拒絶してふわふわと浮かぶ

 



もうすぐ夜が来る
きっともう蝉の音も聞こえないだろう