2020-01-01から1年間の記事一覧

20回目の遺書

死ぬなら今がいいと思った。 読みかけの漫画があった。 新譜を楽しみにしているバンドがいた。 会いたい人がいて、伝えたいことがあった。 やりたいことがたくさんあって、親も友達もまだ生きている。 そんな中で死ぬのがいいと思った。 なにかをやらなきゃ…

猫の撫で方を知らない

即死というのは「即」「瞬間」に死に至るわけではないらしい。 朝に母親と姉が喧嘩していて、あとでお風呂に入りに行ったら風呂場のガラスが割れていた。 それをみてなんだか全部どうでもよくなってしまって、シャワーを浴びたあと自分の部屋で適当な音楽を…

不安を拭うために飲む酒は不味くていい

薄暗い部屋で毒にも薬にもならない動画を見続けている窓の外から幽かに聞こえる蝉時雨に終わりを迎え始めた夏を感じた エアコンが効きすぎた部屋は寒いから布団にくるまって 電話をした人の声見知らぬ誰かの声 付けっ放しにしたパソコンの電源ボタンが一定の…

そこでは雨こそ降っていないが、晴れてもいなかった。

金がない、それでも気にせずに浪費している。 自己に都合よく小説を解釈する人間が嫌いだ。 嫌いな奴全員殺してから食べる焼肉はきっと美味い。 クソがよ、私はここにいる。 どんな悪態をつこうと何がクソな訳でもない。 世界が己の鏡であるならば、紛れもな…

一片の詩

生きるということは日々死に続ける、または死にむかって生き続けるということだ。 故意に命を減らす行為は生を噛み締めるのと同等だ。 クソみたいな感情を込めて吸う煙草は生命と自己の否定と同時に生きるための儀式なのかもしれない。 きっとこれはずっと自…

反芻する嗚咽

あらゆる局面でふと感じる空虚は夜に桜を見上げた時の感情によく似ている 今年もまた春が来た 冬の愛が宿った孤独を溶かしたあとに来るこの季節は、凶暴な優しさで満ちていて息苦しい あと何回、朝が来ないようにと願いながら眠ればいいのか 無数の他の輪郭…

「私は海をだきしめてゐたい」

https://www.aozora.gr.jp/cards/001095/files/42909_23103.html https://books.apple.com/jp/book/%E7%A7%81%E3%81%AF%E6%B5%B7%E3%82%92%E3%81%A0%E3%81%8D%E3%81%97%E3%82%81%E3%81%A6%E3%82%90%E3%81%9F%E3%81%84/id568101373

深夜に鳴くニワトリ

確か6歳の誕生日にあざらしの抱き枕を買ってもらった。 昔は窓を揺らす風の音でもビビって寝れなくなるような繊細さを持っていたが、この抱き枕を抱いて寝ると不思議とよく眠れた。 今ではもう中の綿はヘタってしまってぺちゃんこなその抱き枕を抱かずとも眠…

ホモ・サピエンス

小さい頃、こんな妄想をしていた。 この世界には人間に紛れた「ヒトモドキ」がいて、誰からもそれが人ではないと気づかれないままに暮らしていると。 そしてそれもまた、自分が人ではないと気づけないのだと。 そんな妄想をしていた。 今もまだそんな妄想は…

その水は琥珀の色をしていた

レコード屋も古本屋もない町に生まれた。 この町には何もないのに空は狭い。 「自由じゃないから 不幸なのかどうか」 「あるいは私は不幸だから自由じゃないのか」 昨日見た映画のワンシーンが頭のずっと奥で蠢いているのは気のせいだろう。 胃の底の方に沈…