夜、君を想うということ。

精神的向上心のないものは馬鹿だ、と夏目漱石はKに語らせた。

いつまで経っても人間は好きになれないし、嫌いな女は今日も生きている。

フィルムカメラで写真を撮ろうとしたらフィルムが切れていた。

図書館で借りた本は読む気になれなくて床に転がっている。

 

二十歳までに死のうと思っていたのにもうすぐその年齢になってしまう恐怖が今日も募っていく。

伽藍堂の外側は日々劣化しているらしい。

母は二十歳を心から祝いたいと私に言った。

まだ子供でいたいと話した相手にはもう大人でしょと言われた。

冬の空気は乾いている。

 

エンターテインメントが好きなのだと友人は目を輝かせて語った。

私は頷けなかった。頷く代わりによくわかりもしない芸術について語った。

バイトのシフトが前ほど入らなくなった。接客は嫌いなのでほっとした。

 

寝たらまた明日が来て、寝なくてもまた明日が来る。